コルセットを装着すると体幹筋力は落ちるのか?

 皆様こんにちは、理学療法士の青堀です。腰痛によりコルセットを利用されている方より、「長期間使用すると腹筋などが弱くなるから、あまり使わない方が良いのか?」という質問があります。セラピストの中にも、長期的なコルセットの使用は体幹筋力の低下を招くという方もいらっしゃるのも現状です。今回、コルセットの使用が体幹にどのような影響をもたらすかを検討しようと思います。

 ある研究論文によると、「いわゆる腰痛に対するコルセット使用の有効性は確証できるだけの根拠はない」とされていますが、「適切な診断と装具処方がされた場合は効果がある」とされています(Franz.2022)。[1]また、その他の研究では、長期的にコルセットを使用することで体幹の運動機能にどのような影響を与えるかについて調査した結果、「1~6ヶ月使用しても悪影響はない」ことが示されています。しかし、調査した論文の質が低いため今後の研究が必要と結論しております(Takasaki.2017)[2]

 体幹筋量に関しては、健常人に8週間のコルセットを使用して、腰部多裂筋と腹部外側の筋の厚さを超音波を使用して測定した結果、同部位の筋断面積に有意に減少がみられました。今回のケースでは腰痛患者ではなく健常の方を対象となっていますが、体幹のインナーマッスルへの影響が示唆されます(Rostami M.2014)[3]。  以上より、腰痛に対してコルセットを使用することで体幹筋力に影響を及ぼすかどうかに関しては、現時点では確証があるとは言えませんが、体幹のインナーマッスルに対して何かしらの影響が出る可能性はありそうです。コルセットの使用については、適切な診断と処方が治癒の効果を高める可能性がありそうなので、腰痛を発症した際には受診していただくことをお勧めします。


[1] Franz Landauer Klemens Trieb.An Indication-Based Concept for Stepwise Spinal Orthosis in ow Back Pain According to the Current Literature.jornal of clinical medicine.2020

[2]H Takasaki. The impact of continuous use of lumbosacral orthoses on trunk motor performance: a systematic review with meta-analysis.The Spine Journal.2017

[3] Rostami M et al.The effect of lumbar support on the ultrasound measurements of trunk muscles: a single-blinded randomized controlled trial,PM R.2014

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