肩鎖関節脱臼で手術(OPE、オペ)は必要か?否か?

こんにちはATの井澤です。少し前の話になりますが、サッカーの試合中に転倒し、肩から地面に倒れたことにより肩鎖関節脱臼をしました。手術をし、競技復帰に向けてリハビリを行っている真っただ中になります。

今回はその経験も踏まえ、肩鎖関節脱臼後の手術は必要か?否か?についてお話していきたいと思います。

まず初めに肩鎖関節の構造肩鎖関節脱臼について考えていきたいと思います。

肩鎖関節は肩甲骨と鎖骨をつなぐ関節になり鎖骨は肩鎖関節を支える肩鎖靱帯と、烏口突起と鎖骨をつなぐ烏口鎖骨靱帯の働きにより、肩甲骨と強く連結しています。肩鎖関節脱臼は、これらの靱帯を損傷することで肩甲骨と鎖骨の連結が弱くなり、病状によって大きくずれてしまうけがのことを指します。

次に肩鎖関節脱臼のグレードについてお話していきたいと思います。肩鎖関節は肩周辺のけがのうち9-12%を占めるというデータがあるように、体表に近く小さな関節であるため、損傷されやすい場所です。肩鎖関節脱臼全体の2/3は経過を見るのみで治る軽症ですが、全体の1/3では手術が必要になる可能性がある重症と判定されます。

肩鎖関節脱臼のグレードはⅠ~Ⅵまであります。

Ⅰ型(捻挫):

肩鎖靱帯の部分的な傷みだけで、烏口鎖骨靱帯、三角筋・僧帽筋は正常でX線では異常はありません。

Ⅱ型(亜脱臼):

肩鎖靱帯が断裂し、烏口鎖骨靱帯は部分的に傷んでいますが、三角筋・僧帽筋は正常です。X線では関節の隙間が拡大し鎖骨の端がやや上にずれています。

Ⅲ型(脱臼):

肩鎖靱帯、烏口鎖骨靱帯ともに断裂しています。三角筋・僧帽筋は鎖骨の端からはずれていることが多いです。X線では鎖骨の端が完全に上にずれています。

Ⅳ型(後方脱臼):

肩鎖靱帯、烏口鎖骨靱帯ともに断裂しています。三角筋・僧帽筋は鎖骨の端からはずれています。鎖骨の端が後ろにずれている脱臼です。

Ⅴ型(高度脱臼):

Ⅲ型の程度の強いものです。肩鎖靱帯、烏口鎖骨靱帯ともに断裂しています。三角筋・僧帽筋は鎖骨の外側1/3より完全にはずれています。

Ⅵ型(下方脱臼):

鎖骨の端が下にずれている非常にまれな脱臼です。

ここで特に手術が必要か?否か?の話になってくるのはグレードⅢの状態になってきます。

グレードⅢでは手術に関しては行った方がいい、行わない方がいいと真二つにわかれDrによっても意見が分かれることになるので

今回は当院Dr、PT、ATの私見を伺ってきました。

Dr:若年者、スポーツを行う方、肩をよく使う方、重労働の方には手術を勧めています。又、鎖骨の外側端が突出して見えるため、見た目を気にされる方も手術は選択肢と考えます。中高年の方でデスクワークなどの仕事、活動性が高くない方は保存的治療を行うことが多いです。

PT:烏口鎖骨靭帯断裂に伴う治療についての考察

烏口鎖骨靭帯が断裂した際の対応について、スポーツ復帰を目指すのであれば手術が必要になると考えます。特にオーバーヘッド動作を伴うスポーツ(野球、バレーボールなど)や、肩関節へのコンタクトスポーツ(ラグビー、サッカーなど)では、同部位が断裂していると、肩鎖関節の安定性は低下するため再受傷のリスクが高まるからです。肩鎖関節損傷による機能障害は、肩関節水平内転や屈曲の最終域での痛みを伴うようになりパフォーマンスの低下と繋がります。よって、烏口鎖骨靭帯が断裂している際は、医師との相談にもなりますが、手術が適当であると考えます。

AT:保存か、手術か悩むことはあるかと思いますが、スポーツ復帰を目指し、特に上肢運動(オーバーヘッド動作)を行いたい場合には手術をした方がいいのではないかと思います。日常生活程度で使用する場合には、コストやリスク、時間を考えると手術はせず保存療法を選択する方がいいかと思います。もちろん、保存にしても手術にしてもリハビリは必要になっていきます。

今回、自分事ではありますが、日常生活、競技復帰に向けてリハビリの重要性を改めて感じております。スポーツを楽しむ上で、怪我をしてしまうことはありますが、怪我をしづらい身体の状態を作り、キープしていくことで、生涯スポーツを楽しみ、万が一怪我をしてしまった際にはしっかりリハビリを行い、スポーツを楽しんでいきましょう。

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