パリオリンピックグランドホッケー女子代表さくらジャパンに帯同した細谷PTに質問してみました
Q1今回は残念な結果で終わりましたが、細谷PTからみて世界との差をどのように感じましたか?日本人が秀でている部分、劣っている部分はありましたか?
A1
・ホッケーで金メダルを獲得したオランダとは、オリンピック直前まで練習試合をしていました。大きな差は感じていませんでしたが、しいて言えば体格の差はもちろん感じましたし、フィジカルやテクニックで劣っている部分があることは痛感しました。(オランダの平均身長は出場しているチーム1位です)
・組織として戦う部分では、上位のチームより秀でている部分も感じました。体格やスピードでは不利な部分が多いですが、チームとして組織で戦うことが出来れば個人スキルが高いチームにも通用すると思いました。
・世界ランキングがあまり変わらない中国が今回銀メダルを獲得しました。少しの差で結果が大きく変わることも実感しましたし、日本チームにもこれからたくさんチャンスがあることも実感しました。
Q2パリオリンピックに帯同してみて他の国際大会との違いはありましたか?特に違いを感じた部分を3つ教えてください。
A2
・注目度(LINE NEWS,TV、久しぶりの人からの連絡などたくさんありました)
・メディカル面、食事面、コンディショニング面においての施設数
・華やかさ(競技場、モニュメント、カフェ、バー)
Q3一部報道で選手村が劣悪な環境と聞きました。実際の選手村の設備状況を詳しく教えてください。また、その環境の中で選手のコンディショニング管理はどのように行っていましたか?
A3
・日本選手団の部屋にはウインドウエアコン(写真1)が置いてあり、使用したい人は各自で設置して使うという状況でしたので部屋はむしろ寒いくらいに感じていました。
・ケアなどをしていたリビングルームでは扇風機を使用していましたが、窓を開ければそこまで暑くはなかったです。(部屋は7階でした)
・食事は、みんなで共有して使うダイニングのメニューは少し残念な感じでした。(笑)(写真2)
野菜やフルーツは十分に用意されていましたが、炭水化物などの主食や肉が少なくアスリートは栄養に偏りが出てしまう感じでした。日本選手団は日本食が用意されていたので、ごはんや納豆、豚汁、煮物などは食べれていました。選手もエネルギー不足にならないように
体重管理など徹底しながら日本食を中心に食べていた印象です。
・一番劣悪だったのは、競技会場に向かうためのバスが遅延したりバス内のエアコンがつかずに熱中症になりかけたりがありました。(笑)交通整備も不十分だったので、選手を乗せたバスが渋滞にはまることも多々あり、ウォーミングアップが遅れてしまうことがありました。その際には、監督やコーチと相談しながらアップの時間を調整したりアイススラリー(凍ったシャーベット状のポカリ)を準備して熱中症予防を行いました。




Q4オリンピック競技期間中にけがなどはありましたか?また、怪我にはPTとしてどのように対応しましたか?詳しく教えてください。
A4
・試合に出場できないような怪我はありませんでした。
・大きな大会になるほど、運営側の医療体制も万全になりますし、日本選手団のドクターも帯同されるので大きな心配はなくなります。日本選手が滞在していた建物でも何かあればすぐに診察など対応してもらえる環境でした。レントゲンや採血など必要な場合は選手村内にある“ポリクリニック”というところで対応してもらうこともできます。選手村外にも提携している病院があり、怪我や病気に関しては他の大会などと比較しても安心でした。
Q5他国の選手・スタッフとの交流はありましたか?また、交流した際に会話はしましたか?記憶に残る会話があれば詳しく教えてください。
A5
・選手村内では必ずアクレディテーションカード(写真3)を全員が持っており、自国の国旗やオリンピックマークがついているピンをカードの紐につけている人がたくさんいました。すれ違う際などに声をかけてピン交換をするというのが流行っており、私もたくさんの国の選手とピン交換を通して交流しました。日本のピンは海外でもとても人気でつけているとすぐに声をかけられる事が多かったです。他には帽子やTシャツ交換もしました。

Q6同選手団との交流はありましたか?どんな話をしましたか?
A6
・選手村での部屋は、女子新体操・トランポリン・ローイング・レスリングの方と同じ部屋でした。競技によって出発時間や帰ってくる時間が違うので顔を合わせることは多くありませんでしたが、リビングで他競技特有の大変なことや、個人競技でのコンディショニング方法、減量の事など話しました。
TVでみるような有名な選手ともたくさんすれ違う機会があるので写真を撮ってもらったりしていました。
Q7試合のあった日となかった日の細谷PTのタイムスケジュールを教えてください。
A7
・試合日とそうでない日で私自身のスケジュールが大きく変わることはありません。基本は試合や練習以外の時間は選手のケアをしています。
・試合日は朝食前にウォーキング&ストレッチをルーティーンとして実施していますが、基本は起きてから、テーピングや医療備品を補充し、会場についてからはテーピング・ウォーミングアップ・試合サポート(ドリンク作りなど)・クールダウン・ケアという流れです。
Q8どなたかのメダルは触れましたか?
A8
・触っていませんが選手村内のエレベーターで同じタイミングだった選手に見せてもらいました。とても重そうでした。
Q9時差ぼけへの対策方法と時差ぼけがどのくらいで改善しましたか?
A9
・毎回行くときは気が張っているせいかほとんど時差ぼけはありません。対策としては、機内から現地時間を意識したり、到着時刻に合わせてすぐに行動します。(時差8時間)
・帰国後は1ヵ月程の長い遠征ほど一安心するので時差ぼけになりやすいように感じます。今までの最長で時差ぼけが治るのに1週間ほどかかりました。その時は夜は一切寝れず朝7時頃から急に眠気がきていました。
Q10選手村のなかにトレーニングを行えるような施設はありましたか?また施設はどのぐらい整っていましたか?
A10
・どの国の選手でも使用可能な大きなジムが選手村内に1つ
・日本選手団しか使用できないJOC主催の施設内に1つ
・ナショナルトレーニングセンターとほとんど同じレベルの器具が揃っていました。
・日本選手団専用施設にはトレーニング施設の他に、日本食が食べれる食堂やランドリースペース、交代浴スペース、ケアルーム、リラックススペースなど様々な施設が揃っていました。
