睡眠と運動パフォーマンスについて考える

こんにちは、理学療法士の青堀です。今日は、睡眠と運動パフォーマンスについて考えてみたいと思います。寝不足の状態であると、疲労感が残り、運動パフォーマンスが低下することは経験されたことがあるかと思います。実際のところ、この睡眠不足と運動パフォーマンスとの関係については検討の余地があるようで[1]、Thunら(2015)によると「睡眠不足は自給運動能力や認知判断能力を低下させるものの、短時間のパワー発揮能力にはそれほど影響を及ぼさない可能性も示唆されている」[2]という報告もあります。

一方、最近では睡眠時間の延長がアスリートのパフォーマンスを向上させるという報告もあります。Mahら(2011)によると、大学生のバスケットボール選手に対して少なくとも10時間の睡眠をとらせたところ、短距離走のタイムやスリーポイントのシュート成功率の改善がみられたとともに、競技中の心身状態が改善したとの報告がされています[3]。また、Schwartzら(2015)によると、大学生のテニス選手に対して1週間毎日少なくとも9時間の睡眠をとらせたところ、サーブの精度が向上するとともに、眠気が改善したことが報告されています。[4]

 今回は、睡眠と運動パフォーマンスについて考えてみました。睡眠と運動パフォーマンスには相関があると考えられておりますが、まだはっきりとしない部分があることが現状です。近年、睡眠は「量:睡眠時間」だけでなく、「質:Sleep quality」に焦点があてられており、アスリートにおいては質の障害が問題となっているようです[5]。睡眠について関心を持つことが運動パフォーマンスを改善するにも重要だと思います。そこで、睡眠に関するものとして、厚生労働省より「健康づくりのための睡眠指針2014」がまとめられ公開されています。参考までに一読することをお勧めします。

【参考文献】

岸哲史:睡眠とトレーニング.Sportsmedicine 214.pp36-38


[1] Hugh H. K. Fullagar et al:Sleep and Athletic Performance: The Effects of Sleep Loss on Exercise Performance, and Physiological and Cognitive Responses to Exercise.sports medicine,45:161-186.2015

[2] Thun E.et al.sleep circadian rhythms,and athletic performance.sleep med Rev,23:1-9

[3] Mah CD et al.The effect of sleep extension on the athletic performance of collegiate basketball players.sleep,34:943-950.2011

[4] Schwartz A et al.Sleep extension improves serving accuracy:A study with college varsity tennis players.Physiol Behav,151:541-544.2015

[5] Luke Gupta et al.Does elite sport degrade sleep quality? A systematic review.sports medicine 47:1317-1333.2017

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